脳梗塞後遺症の成り立ちと鍼灸マッサージの治療効果

脳梗塞後遺症のリハビリ
訪問医療マッサージを行っていると脳梗塞後遺症の患者様にはよく出会います。
一言で脳梗塞後遺症と言っても、脳のどこをやられるかで症状の出方は全く変わります。
施術ではリハビリのバリエーションをたくさん準備して対応にあたることが望ましい疾患でもあります。
また、健側は健常者と同じように動けるからこそ日々の生活で頑張って動かれている方が多いので、動いた分だけ筋緊張は強くなり、それに伴い血行も悪くなりやすいです。
脳梗塞後遺症では、関節のケアをキチンと行わないと、麻痺側の関節拘縮を起こすリスクが上がります。
重症でベッドから動けない方の場合は、身体を動かす機会に恵まれないため四肢の拘縮を起こしやすく、マッサージで身体をほぐす必要性がより高まります。
重症であればある程にマッサージの重要性が増す傾向にある疾患です。
今回はそんな脳梗塞後遺症についてまとめていきます。
脳梗塞の成り立ちと症状
脳梗塞は脳の血管が血栓などによって詰まり、脳に酸素はブドウ糖が行き渡らなくなることで脳の細胞が死んでしまう病気です。
脳の損傷された部位によってどんな後遺症が残るかが決まります。
一度死んでしまった脳神経や脳細胞は復活することはありません。
一部の脳神経や脳細胞が死んでしまっても他で補うことが可能な疾患ですので、自分の回復力を信じてリハビリと向き合ってひたすら努力を重ねていくべき疾患です。
初発初期の段階で重い症状が出ている場合は後遺症が残ることを覚悟しなければなりません。
施術をしながら患者様と話をしていると、「1度目の脳梗塞は軽く済んだけど、その後治ったと勘違いして薬を飲まなかったら次に来た脳梗塞で酷い後遺症が残った。」と言われた患者様が何人も居ました。
病気を発症したら病気の飲み忘れや、自己判断で薬をやめることは自殺行為です。
脳梗塞の後遺症は「運動障害」「感覚障害」「言語障害」「高次機能障害」などが多くの場合起こりますが、その一部またはすべてが後遺症として残る事があります。
症状の出方は様々です。
運動障害とは
感覚を司る神経は運動神経と密接な関係があります。
片麻痺を起こした場合同じ側に感覚障害を起こす事が多いです。
手足が痺れたり物に触っても感覚がなかったり、温度を感じなくなるなど感覚が鈍感になったりすることがあります。
私たち鍼灸マッサージ師は片麻痺の運動障害の改善に向けて様々な努力をしております。
歩行困難な方のための往診ですので、機能回復訓練は主に下肢の施術が主体です。
何処まで改善するかは患者様の回復力次第なのですが、上手く導ければ寝たきりの方でも歩行が可能なまでに回復します。
運動障害の改善には残っている能力に加えてご本人の努力も大きく関わってくるので、「回復の度合いは患者様次第ですよ。」と話の中でお伝えすることが多いです。
言語障害とは
喉や舌の筋肉の問題による発声だけでなく、脳の言語を司る部分が損傷すると言葉や文字の理解ができなくなる場合があります。
喋れなくなったり、文字が書けないなど意思の疎通が難しくなる事があります。
言語障害は努力次第で改善することがあります。
実際に何を言っているか全くわからない状態から普通に話せるようになった患者様を治療した経験があります。
この患者様に限らず、言語障害の場合は1人ではなく誰かと一緒に治療をしていくと回復の道筋も立てやすいのではないでしょうか。
高次機能障害とは
大脳皮質など脳細胞の物理的な損傷により高次脳機能障害が引き起こされ脳の機能が低下して様々な神経や心理学的な障害が残ることがあります。
「認知障害」とも呼ばれます。
記憶障害・・・記憶や学習思考判断などの認知過程に問題が発生し記憶が失われたり新しい出来事が覚えられなくなります。
社会的行動障害・・・集中力が低下してミスが多くなる注意障害物事を実行することができなくなります。
社会的行動障害 ・・・興奮したり暴力を振るったりします。
このように様々な後遺症により日常生活に支障をきたすこともあります。
高次機能障害についても、私たち鍼灸マッサージ師はいろんな場面で関わってくることが多いです。
その患者様が抱えている問題であり、私達が何か改善できる対策がある訳ではないのですが、人との関わりの中でよい環境を作っていく手助けにはなるかと思います。
たいていの場合は、高次機能障害だけではなく身体的な不具合も抱えているので、往診で伺う場合は下肢に何らかの症状が出ていることが多いです。
興奮して暴力的な行動がヒドイ場合は関われませんが、それ以外であればわりと接点の多い症状です。
まとめ
脳梗塞後遺症は統計的にみても患者数が多く、私達が関わることも必然的に多くなります。
脳梗塞後遺症で半身麻痺になった場合、急性期のリハビリでは運動する機会に恵まれていても、自宅療養や施設に入るとその環境がなくなってしまう場合が殆んどです。
適切なケアが必要なのにその環境がないという患者様の声をよく耳にします。
私は機能訓練指導員でもあり、そういった患者様にたいして運動指導を行っております。
ひと言で脳梗塞後遺症とは言ってもいろんな症状の方がみえますが、体力がしっかりあれば寝たきりから坐位保持を行うまでは容易いです。
その先は、立位を行う、トイレの移乗を大まかには1人で行う、歩行訓練となるのですが、人が付いていないと転倒の危険があるので1人ではやらせませんが、歩行訓練が可能なまでの回復も珍しいことではありません。
何処まで回復するかはその人の回復力次第であり、身体機能の状態に加えて年齢も大きく関係してきますので状況を見極めた対応が必要となりますが、無理しない程度に前向きに状況改善を図ります。
回復する時は別段無理しなくても回復しますので、焦らずじっくりリハビリに取り組む姿勢が大切です。
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