進行性格上性麻痺で転倒が気になりだした時の対処法《一人で悩まず専門家に相談しよう!》

進行性格上性麻痺で転倒が気になりだした時の対処法《一人で悩まず専門家に相談しよう!》

最善の選択を探ろう

進行性格上性麻痺で一番気をつけないといけないのは転倒です(※歩行が可能な段階の場合)。

ご自身または親族が進行性格上性麻痺と診断され、どんな事に注意するべきかネットで検索して調べていると『転倒しやすい』というワードに出くわすのではないでしょうか。

「なんだ、ちょっと転倒しやすくなるだけなのかな!」「少し安心した!」と楽観的に考えた方はこのご病気の真の怖さをあまりよく分かっていないように思います。

同じ病名であっても進行のスピードには個人差があるので一言では語れないのですが、「転倒しやすい」という柔らかい表現には収まりきらない壮絶な転倒をする可能性がある疾患です。

今回は進行性格上性麻痺の患者さんがどのように転倒しないように対策を立て生活されているのか、実際の転倒の例を参考にしながら最善の選択について考えていこうと思います。

まさし院長

進行性格上性麻痺は情報が乏しくネット検索してもあまりピンとくる記事も少ないと思いますので、みなさんの療養生活に少しでもお役に立てればと思い、患者さんのご家族に宛てた案内文の中からプライバシーに関係のない文章を切り抜いて再編集し記事にしました。

ゆづき

大きな病気を患った時に一番欲しいものは「正しい情報・リアルな情報」なのですが、ご病気によってはネット検索してもこれだ!思える情報が少ないのが現状ですよね💦

転倒の恐怖体験

進行性格上性麻痺は普通に動けていても、ふいにバランス感覚を失い受け身も取れずに転倒します。

なので、ご自宅や外出先で転倒した方向に運悪くガラスがあると、ガラスに倒れ込むように突っ込み大ケガをすることになります。

これは、患者さんがガラスの方向に倒れると頭では分かっていても、自分の身体を動かすことも手足の動きを制御することもできずにそのまま体ごとガラスに向かって転倒し、気が付いたら血だらけで倒れているのです。(※過去に携わった患者さんから直接聞いた話ですので実話です)    

ご自宅だけでなく外出先には店先に自分の背丈より低い看板などがあり、そこに向かって転倒し看板に突っ込み壊してしまうこともあります。

路上での転倒ですので転倒した本人も大きなケガをしており、謝りに行った先のお店で逆に心配され救急車を呼ばれる結果となります。

患者A

歩くこと自体が危険ということなの?

かえで

転倒の危険を回避したい場合は生活面での不安要素を一つずつ取り除いていく必要がありますし、歩きたいのであればしっかり安全を確保してからリハビリに取り組まれるとよいでしょうね。

どの患者も思いは同じ

当院は進行性格上性麻痺の患者さんやそのご家族から身体機能の向上を目的としたリハビリの依頼を受ける事も多いので必然的にたくさんの話をする機会に恵まれます。

どのご病気の患者さんも「治りたい一心で頑張っている。」「病気を克服したい。」という気持ちは同じなのですが、進行性の難病の場合は「治す・治る」という観点で治療をすることが難しく「もう少し広い視野」で患者さんをみていかないと判断を誤ります。

当院では進行性格上性麻痺の患者さんをこれまで何例も受け持ってきているので、患者さんの気持ちの移り変わりや身体の変化は実体験を持って知っています。

このご病気の特徴として歩く能力が残っている間は歩行訓練を希望される方が多く、リハビリを行っていても前向きに取り組まれる患者さんばかりです。

それ故にご家族、患者さんの状況改善への熱意を強く感じることが多々あります。

患者B

進行性格上性麻痺は治せないの?

まさし院長

難病指定されている疾患ですので原因すら不明であり現代医学では治すことは難しいですが、リハビリを適切に行うことで身体機能の維持・回復を図ることができます。

運動の必要性と能力の喪失

以前にリハビリにとても熱心な進行性格上性麻痺の患者さん(以下A氏)の施術を受け持ったことがあるのですが、その時にA氏にリハビリの取り組みの様子を細かく聞く機会がありました。

患者さんはご病気のことをよく理解されていることが多く、A氏も身体機能の低下を気にして自分で運動メニューを作り目標を決めて毎日のように「今自分に必要な運動は何なのか。」を考えながらリハビリに取り組まれてみえたのです。

結果としてA氏は、運動をまめに行ったことで長い期間よい状態を保ちながら闘病生活を送れたので、リハビリを頑張っているだけの成果はあったのかなと私は思っています。

しかし、どれだけ努力をしても病気の進行は止められません。

時間の経過はA氏の身体の機能を少しずつ奪っていき、3カ月前、6カ月前、1年前と比べると「できないこと」は宿命的に増えていってしまうのです。

そこで当院ができることは、今必要な運動のサポートをしながら身体のメンテナンスを的確に行い、病気の進行をできるだけ緩やかにすることだと考えています。

どのご病気にも共通することなのですが、運動を積極的に行った患者さんはよい状態を保ちながらご病気と向き合うことが多く、反対にリハビリを頑なに拒否して早期からリハビリを放棄した患者さんの末路は酷いものです。

同じ患者さんでのお身体の状態の比較はできないのですが、多くの患者さんを長年みていると運動を取り入れてリハビリに励んだ患者さんの方がよい状態を保ちながら年齢を重ねることが多いです。

患者A

病気の進行を止めることはできないのかな?

かえで

今回は歩行に焦点を当ててお話をしていますが、残念ながらご病気の進行は止めることはできずいずれ歩くことは困難になるでしょう。

自宅療養と施設入所

転倒がきっかけで大きな怪我を負ったそのとき、患者さんは単独で動いている場合が多いです。

反対に第三者の監視の目が常にあるならば、患者さんが怪我を負うような転倒事故は防げる可能性が高いと言えます。

しかし、実際に進行性格上性麻痺の患者さんをご家族が24時間ずっと見守るのは現実的ではありません。
ご家族がずっと付き添って介護をしてくれるような恵まれた環境にある患者さんは非常に少なく、ご自宅であればケアマネージャーを通してヘルパーが身辺のお世話をすることになるでしょう。

私の今までに受け持った進行性格上性麻痺の患者さんは介護保険を上手に使って家族の手も借りながら自宅療養するか、危険な自宅での一人暮らし生活を早々に切り上げて介護施設に入所するという選択をされています。

ご自宅で療養する場合は例外なくご家族の手厚い手助けが必要になります。

「自宅と施設はどちらが療養に適しているのかな?」という話ではなく、療養する場所はその時のご家族の状況が大きく関係します。

自宅療養の患者さんを献身的に介護してみえるご家族はホントに凄いなと感心するのですが、その状況は意図的に整えるものではなく、患者さんにとって自宅療養ができる環境がたまたまその時に整っていたという場合がほとんどではないでしょうか。

ちなみに施設への入所は患者さんの都合ではなく、どちらかというとご家族の都合で「子供が成人し自分の家庭を持って他県に引っ越してしまい、家内にも3年前に先立たれてしまい独居生活をしている。」「共働きなので日中はみんな出払ってしまい自宅での難病患者の介護は難しい。」等それぞれのご家庭の事情が深く絡んできます。

自宅療養をするか施設入所を選択するかはそのご家庭の状況によりけりですので、病院に入院中ならケースワーカー、ご自宅で療養中ならケアマネージャーなどの専門家に相談して最善を決めていかれるとよいでしょう。

患者B

一軒家で変わらず一人暮らしをしたいのだけど無理かな?

まさし院長

近くに親族がいない一人暮らしの高齢者の場合は施設に入所されることが無難ですし、自宅療養にこだわると思わぬところで転倒して大ケガをする結果になります!

外出とリハビリは区別しよう

患者さんは友人を頼って外に繰り出そうと試みることがあるのですが、その送り迎えの介助を素人に頼んだ場合、いくら患者さんが「なにかあった時の責任は自分にあるから大丈夫!」と言っても転倒の現場に直面すると介助者はビックリして尻込みしてしまいます。

最初はこの人のためと善意でやっていても、「責任を取れない。」ということで断られるでしょう。

自宅や施設に籠っていると外出したくなるのは心情ですが、外出先では付き添いが傍にいたとしても常に転倒の危険がつきまといます。

危険を感じたならすぐに車椅子での移動切り替えれば特に問題ないのですが、その見極め和難しいです。

歩行が可能な方は自力で歩くことに執着されますので、転倒防止の対策を講じることをせずに無理をすれば転倒の危険性は必然的に高まります。

患者さんに「転倒した時のためにラグビー用のヘッドギアを着けたらよいのかな?」と過去に相談された事もありますが、現在の日本の道路と歩行者用通路の大半はコンクリートで舗装されていますので転倒した時のダメージは大きく最悪の場合は骨折もありえます。

であるなら、外出時は必要に応じて車椅子を使って無理なく怪我なく移動をされた方が無難といえます。

患者さんは「何のための外出なのか。」「何の目的で出掛けるのか。」を今一度考えるべきです。

「運動を頑張ろう!」という前向きさは買いますが外出をリハビリの一環に取り入れるのは、進行性格上性麻痺のように転倒の心配がある疾患の場合には向かないです。

外出は無事に移動することが最優先、リハビリは自宅内又は施設内で安全に行うという区別が大事なのではないでしょうか。

そこをはき違えて全部まとめて済ませようと考えるから、周りに多大な迷惑をかける結果に繋がってしまうのです。

患者A

外を歩くことはリハビリにならないの?

まさし院長

リハビリは安全を確保した上で行うことが基本ので、ケガをするリスクが高いのであれば、そうまでして外を歩く必要性が見当たらないということです。

まとめ

リハビリは単調でつまらないものなので、なるべく楽しい何かを探したい気持ちはよく分かります。

「吹き矢教室に通って身体を鍛えたい。」「カラオケ喫茶に通って声を出したい。」「外に出て散歩したい。」どれも意欲的な素晴らしい取り組みなのですが、出来るかどうかはお身体の状況しだいです。

進行性格上性麻痺の患者さんは歩行にこだわる方が多いように思いますので、歩ける方はリハビリの一環として手押し車を使って歩いて移動しようとします。

歩けなくなる不安があるからこそ余計に何かしなくてはという思いが湧き上がってくるのでしょうか。

間違えないで欲しいのは、私は患者さんに「歩くな!」と言っている訳ではなく、「安全を確保してケガなく無理なくリハビリに取り組んで欲しい。」と言っているのです。

キレイに舗装された日本の道路は受け身を取らずに転倒すれば私でも大ダメージを受けてしまいますので、そんな危険な場所でリハビリをする必要性は全くありません。

外を歩くためにヘッドギアなどのプロテクターをつけて補おうと考えるのではなく、どうしたら転倒によるケガを防げるかをしっかり考えて行動することが大事です。

無謀にも外を歩いて転倒し、足腰を骨折しようものならギプス固定されてじっとしている間に身体が弱ってしまい逆効果です。

気長に機能回復訓練に取り組めば筋力は必然的に強くなりますので、焦らずじっくり自分のペースで運動に取り組んでいきましょう。

お問い合わせ先、愛知訪問マッサージ・リハビリ

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