パーキンソン病の診断方法と重症度の分類、各病状への鍼灸マッサージ師の関りかた

パーキンソン病の診断方法と重症度の分類、各病状への鍼灸マッサージ師の関りかた

パーキンソン病の診断方法

パーキンソン病は自分で判断して病名を確定することは難しいですし、病気は何事も早期発見が一番ですので、おかしいなと思ったら早めに病院に受診することをオススメ致します。

実際に医師の行う診断患者さんの自覚症状や神経所見などから総合的に判断します。

血液検査尿検査CT (コンピュータ断層撮影 )MRI (磁気共鳴映像法 )などの画像検査で黒質の異常やレヴィ小体の出現は発見することはできませんが、パーキンソン症候群との判別のため、これらの一連の検査が必要になります。

これらの検査結果を踏まえて、考えられる病気を一つずつ省いていった場合に、はじめてパーキンソン病との診断が下ることになるわけです。

患者A

四大症状のうち2つがあてはまるけど。。。

まさし院長

いつもと明らかに違う症状が出た時にはなるべく早く病院を受診しましょう!

パーキンソン病とよくにた病気

パーキンソン病とよく似た病気はいくつかあり、それぞれに特徴があります。

ご自身の病気がパーキンソン病なのか、それに類似する病気なのかの確定は検査結果を踏まえて一つずつ可能性を排除した先にあるといえます。

パーキンソン病とよく似た病気はどんなものがあるのかも一覧にして以下にまとめておくので参考してください。

多系統萎縮症

ドパミン欠乏に加えて、自律神経が障害される病気です。

立ちくらみや失神発作、排尿障害、睡眠中のいびきや無呼吸などの症状が特徴です。

この病気になると、ご家族は何か回復の手立てはないか必死に探しご自宅にピラティスの先生を招いて運動をしたり、昔やっていた管楽器をやらせたり、身体機能回復にとても熱心になられます。

私達が施術を行うにあたっても何かできないかと思案するのですが、マッサージや関節のケアをする以外にはあまりお役に立つことは出来ておりません。

今までに私が伺った患者様のご家族はみなさん運動にたいして意欲的だったので、「マッサージで病気の進行を止めることはできませんが、動きが少なくなっているので、マッサージや関節のケアは重要です。」とお話してもどこか物足りなさそうにしてみえます。

このご病気でご家族が望むことは現状からの回復の場合が多く、進みゆく病気の進行をマッサージでは止めることが出来ないと知るとガッカリされることが多いです。

それとは反対に、患者さんはマッサージのケアが受けられることをとても喜んでみえます。

相談相手と身体のケアをしてくれる人がきたことが素直に嬉しい様子です。

実際に施術に携わるようになると、もう少しマッサージ師にも出来ることはあるんじゃないかというジレンマを感じるご病気でもあります。

ご家族

最近、動けなくなって寝てばかりいるけど何とかならないかな?

かえで

気持ちは分かるのですが、病気の進行はマッサージの施術で止めることはできません。

進行性核上性麻痺

脳幹の神経細胞が減少する病気です。

早期からのすくみ足や後ろ向きに転びやすいことが特徴で、転倒は突然起こりますので、転ぶ場所が悪いとガラスのドアを突き破り血だらけになることもあります。

けして脅す訳ではなく、転倒の恐怖体験は進行性格上性麻痺の患者さんから直接聞いた聞いた経験談で、突然転倒することがいかに怖いのかを切実に語られてみえました。

この場合の転倒ご自身で制御できるものではないですし、後ろ向きに転ぶというのはご本人にとって恐怖でしかないので注意が必要です。

症状が進行すると目の動きが悪くなり、認知機能が低下します。

病名の確定が難しいご病気で、患者さんから「進行性核上性麻痺のようだけど病名がハッキリした訳ではない。」「何とか病気を確定しようと病院をいくつも渡り歩いてようやく病名が確定した。」と聞いたり、「進行性格上性麻痺」と断言していえない場合も多いのかもしれません。

ただ、進行性格上性麻痺が疑われる場合の症状は似通っているので、マッサージでの対応と注意点は変えることはありません。

患者C

自宅で転倒して窓を突き破り大変な思いをしたよ

まさし院長

動かないと足腰は弱りますが、安全を確保した状態で運動する配慮が必要です!

大脳皮質基底核変性症

パーキンソン病の症状と大脳皮質の症状が見られる病気です。

片方の手足が固まったり、単純動作は出来ても複雑な動作が出来ない、意図通りにならないといった症状が特徴です。

大脳皮質基底核変性症の症状がだいぶ進行してから関わったことがあるのですが、ご家族手足の関節が固まることをとても気にされてみえました。

動きが少なくなると関節が拘縮を起こすので、それを予防する必要がありますし、症状が進行する中でも関節をいかに柔らかく保っておくかはその後の介護を楽にする大事な要因にもなります。

完全に関節が固まってしまってから「関節の動きを何とかして欲しい。」と言われてもそこからの改善は難しいので、関節が固まる前からこまめに関節のケアをしていきたいですね。

ご自宅で療養する場合はご家族の精神的な負担も大きいご病気ですので、関節が固まってしまう前に早めに身体のケアを開始しておいた方がよいでしょう。

ご家族

関節が固まっていると服を着せにくいので何とかしてください

かえで

関節が固まる前からのケアが大切ですので、なるべく早めの対策を心掛けましょう。

パーキンソン病の症状

パーキンソン病の疾患の要点をまとめると、以下のようになります。

  • 四大症状(安静時振戦、筋固縮、寡動・無動、姿勢反射障害)のうち少なくとも2つが存在する。
  • 頭部CTまたはMRI所見に原則として明らかな異常が認められない。
  • 感染、薬物などによるパーキンソン症候群を除外できる。
  • L・ドーパ製剤またはドーパミンアゴニストによって明らかな症状の改善が認められる。

パーキンソン病は、進行の速度は患者さんによって異なりますが、進行の過程で出てくる症状にはほぼ一定の順序があります。

「ヤールの重症度分類 ( I〜 V度 )」はその症状の進行度合いに基づきパーキンソン病の重症度を分類したものです。

ヤールの重症度分類

I度:症状が片方の手足のみで、日常生活への影響はないか、あっても軽微

II度:症状が両方の手足に見られるが、まだ軽度で、姿勢反射障害はない。日常生活に多少の不自由があるが、従来どおりに行うことは可能

Ⅲ度:屈姿勢となり、姿勢反射障害や歩行障害が見られる。症状は軽度から中等度で、日常生活はある程度制限されるが自立はでき、職種によっては仕事も可能

IV度:症状が重篤になり、自力での歩行は不可能だが、支えてもらえば可能。日常生活でもかなりの介助を要し、労働は困難

V度:立つことも不可能で、車椅子かほとんど寝たきりの生活。全面的介助を要する

パーキンソン病は厚生労働省の特定疾患の一つでもあり、この分類でIII度以上になると医療費の補助が受けられます。 

医療費の補助が受けられるということは、患者さんの金銭的な負担を減らす上でとても重要な意味を持ちます。

パーキンソン病の患者さんと話をしていると、「鍼灸で症状が改善する。」と言われることがあり、そういう患者さんは実際に施術をすると劇的に症状が緩和されます。

この場合の回復は精神的な要素が大きく絡んでいるように思うのですが、施術前は思ったように動けず移動にすごく時間がかかるのに、施術後はスタスタ普通に歩くことができたりします。

病は気からの部分も大きく、一人で悩んでいるとよくない症状が出てしまいますし、医療関係者と話をすることで気持ちが落ち着くのではないでしょうか。

患者C

鍼灸をすると不思議と動けるようになるんだよ!

まさし院長

身体のケアは定期的に行うようにしましょうね!

まとめ

パーキンソン病やその類似疾患である、多系統萎縮症、進行性格上性麻痺、大脳皮質基底核変性症はどれも大変なご病気です。

鍼灸マッサージ師である私は長年これらの病気と対峙してきましたが、状態が悪化してから連絡してこられる方が多いです。

もちろんいつ連絡してこられても構わないのですが、身体の機能をできるだけよい状態で保ちたいなら、なるべく早い段階で施術を受けられた方がよいでしょう。

これはパーキンソン病や類似疾患に限ったことではなく、どのようなご病気でも同じことが言えます。

少しずつ症状が進行していく病気ですので、患者さんご家族精神的に辛い部分も多いと思います。

ご病気の根本を治したり、落ちてしまった能力を回復できる訳ではありませんが、鍼灸マッサージを適切に受けることでお身体をよい状態に保つことは可能です。

身体のメンテナンスという考え方になるのですが、それをやらないで放置しておくと関節は固まり患者んにとってはより辛い状況になり、ご家族にとっては介護がしずらくなります。

なるべく早めの対策をとって最善のケアプランを立てていきたいですよね。

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